どんぐり雑感
ゲーム処
Nights ・・・in to the Dream
〜夢を見る勇気〜
基本的に反射神経がないどんぐり2号は、いわゆる『アクションゲーム』が苦手です。 根本的に技が出せない・そもそも操作を憶えられない対戦格闘ゲーム、必ず同じところで引っかかって、何度もリトライしてるうちにコンティニュー使い果たしてゲームオーバーになるスクロール系アクション、どーーーしても操作が間に合わなくて頓挫してしまう、面クリアタイプのアクションパズル。 なので、コントローラーの操作に時間制限のないRPGやシミュレーションなどをちまちまのたのたやってるんですが。 タマに、やってみたくなるゲームもあるということで。 「Nights」は、『夢』の中を舞台にしたアクションゲームです。 『夢』の中に住んでいる夢魔たちが、現実世界への侵攻を考えたとき、それに反対して幽閉された、上級夢魔の一人が「ナイツ」。…なんかこう書くと、アニメ版デビルマンみたいですが。 主人公は夢の中で、そのナイツと同化して空を飛び、進路を邪魔する夢魔たちをふっ飛ばしたり、夢世界に生息している小さな生きもの達を守ったりしながら、「制限時間内に飛行コースに設置してあるクリスタルを一定数以上集める」と、一つのステージをクリア。 システム的には、同じスタッフが作った、かの「ソニック」シリーズを彷彿とさせるものがありますが、敵に接触しても、ペナルティはほぼ「制限時間が減る」ことだけなので、ゲームとして進行させるのは、こちらの方がラクです。 「ナイツ」の飛行コースはある程度決められているので、飛んでいるぶんにはただひたすらその中をぐるぐる回っているだけですが。 タイムアウトになると、ナイツと主人公の同化が解け、主人公は地上へ落下。 集めたクリスタルも、全部飛散してしまいます。 そうなると、主人公は自力で地上を走り回り、クリスタルを集めなおさなければなりません。 時間制限はなくなりますが、そのかわり、巨大な目覚まし時計に追われることになります。 コレに捕まると、主人公は目を覚ます、すなわちゲームオーバーになってしまうんですな。 ステージごとに、用意された舞台は森だったり海岸だったり、雪の山だったり。 飛行コースも決して平坦なものではなく、山あり谷あり、トランポリンでジャンプしたり海中をくぐったり強制ジェットコースタールートあり、とバラエティに富んでますが、地上走行時のしかけもまた、よく作りこんであります。 小川に入れば水音、砂浜では足元に砂煙、雪山ではキシキシと雪鳴り。 沼に入れば足は遅くなるし、細い道を踏み外せばたちまち落下。 細かいところまでよくぞ、という感じで。 できるだけハイスピードでコースをまわり、制限時間内にたくさんのクリスタルを集めるのが高いスコアをはじき出すコツですが、このゲームのお楽しみはむしろ、それ以外のところにたくさんあったりします。 特に、各ステージにいる小さな生き物、「ピアン」。 トンガリ頭に金の輪がはまっているあたり、どうもセガサターン発売当時の「土星人」たちの風貌を残しているようですが、二頭身のコロコロした体型はとても可愛らしいです。 そして、この「ピアン」たちには、一体ずつにAIが搭載されていて、ナイツが対応することで、一種の育成ができるようになっている、という細かさ。 ゲームを開始した時点では、ピアンたちにとってのナイツは「知らない人」という感じです。 ニコニコ笑って近づいてくる子、顔を見た瞬間に逃げ出す子。 好感を持ってもらうためにナイツとしてすべきことは、ときどきピアンたちが生む卵に触れて孵してあげること、そしてコース内にいる敵を追い払ってあげること。 何度もそれを繰り返しているうちに、ピアンたちのナイツに対する好意度が上がってきます。 すると…。 BGMに変化があらわれるんですね。 各ステージごとのBGMは細かくいくつかのブロックに分割されてまして、それぞれが微妙に異なる4段階のパターンを持っている…のだそうで。 ABCDと、段階がひとつ上がるごとにメロディのバリエーションが増えたり、バックのコード進行が複雑になったり。 同じステージを何度も繰り返してやっていると、ピアンのナイツに対する好感度が上がり、BGMが変わるのがわかるようになってきます。 ちなみに、通販のみで入手できた「クリスマスナイツ」というソフトがありまして、これはいわば「ナイツ」の体験版のようなものなんですが、コレに入っているオマケデータを使うと、「ナイツ」本編における、各ステージにいるピアン一人一人の、ナイツに対する好感度がチェックできます。 そのステージにいるピアン全員がナイツを「大好き」になると、そのチェック画面でピアンたちが主題歌を歌ってくれる、というプレゼントがありまして。初めて見たときはえらく感激しました。 このピアン育成のノウハウは、その後ドリームキャストで出た「ソニック」の「チャオ」育成へと継承された模様です。できれば「ナイツ」の続編も見たかった、のですが。 なお、「主人公」と書きましたが、実際には、このゲームに登場する主役は二人です。 男の子の「エリオット」と、女の子の「クラリス」。 二人のステージはそれぞれ別々に用意されていて、一見単独プレイのように見えるのですが…それぞれのステージをクリアして初めて行けるようになるラストステージ、二人の住む街の上空を飛び回ることになる場面で、なぜ主人公が「二人」でなければならなかったのか、がわかります。 ここの演出がトリハダものなくらい素晴らしいんですが、思いっきりネタバレになってしまうので書けないというのが残念。 「一人ではできないことも、勇気を持ち、信頼しあった二人で力をあわせればできる(かも知れない)」 大作RPGなどで、ヘタすると数十時間かけてようやく到達したりすることもあるこのテーマを、ナイツでは一切セリフのない、ゲーム内のキャラクターの行動だけで表現してしまいました。 ラストステージ、ナイツの助けを得て力をあわせ、夢魔のボスを倒すと、主人公の二人はそれぞれ自分のベッドで目をさまします。 ゲーム開始前のデモで示されるのですが、主人公の二人はそれぞれ、自分の心にある「弱い」部分に顔をそむけて逃げ出したことで、夢魔たちにつけ入るスキを与えてしまったのでした。 エンディングで、二人はその自分の中の「弱い部分」に直接立ち向かいます。 ナイツと一緒に行動したときの、「自分の中に生まれた勇気」を思い出して。 そして、「弱さ」を克服した時…ナイツと同化していたときは、ほんの一瞬顔を合わせただけだった二人は、初めて現実世界で出会うのでした。 …Boy Meets Girl(and Happy End)。 なお、「クリスマスナイツ」の冒頭に出るデモは、この「ナイツ」本編のささやかな後日譚でもあります。 余談ですが、「カオスシード」とこの「ナイツ」、ナニゲに共通点があったり。 …仙窟のデータもピアンの育成データも、容量がデカい上壊れやすいです…………。 |