どんぐり雑感
シネマ館


「スター・ウォーズ」


 
スター・ウォーズ 帝国の逆襲
(原題:THE EMPIRE STRIKES BACK
アービン・カーシュナー監督作品
(1980年)

 前作から3年(日本では2年)、いきなり冒頭からパワー全快で飛ばしまくり、一体どうケリを付けるんだ、と思ったら以下次号である。当時はさすがに賛否両論であった。

 どうせこれだけで話を完結させる事は無理だったので、物語の伏線を詰め込めるだけ詰め込んで、どんどんテンションを上げて次回作へと持っていくという手法は、あの時代にはあまりない手法だった、というよりなかなかできない事であり、さすがはフラッシュ・ゴードンで育ったルーカスだけの事はある。

 しかし途中で終わったくせに、シリーズ中で一番大人向けであり、雰囲気が一番「映画らしさ」を持っている。
 音楽もあの名作「帝国のマーチ」(というよりダースベーダーのテーマと言った方が早いか)を生み、その映像と共に強烈な印象を残した。つまり音楽も映画の一部だと言う事を再認識させてくれたのである。

 ところでこのシリーズは、ダークサイド側の者がどんどん魅力的になっていき、主人公たるルークもそれに影響される、という図式でなりたっており、最終的には反乱軍の勝利となるが、印象に残るのはほとんど「ワル」の連中ばかりなのである(だいたいハン・ソロだって、結構なワルだという設定になっている)。気が付いているとは思うが、ルークがダークサイドに影響を受けていく過程で、映像的には1作毎に衣服が黒くなっていくが、これはなかなか良いアイデアだと思う(ただの深読みかもしれないが)。

 いずれにせよ、この映画は映像における「センス・オブ・ワンダー」を、良質の映像で感じさせてくれた映画である。「娯楽作品としてのSF映画」として、究極の作品になっている、と言っても良いだろう(ある意味、アクション映画に分類してもいいとすら思っている)。

 特撮の面でも、当時は非常に困難だったホワイトやブルーの背景への合成スノースピーダーにおけるエアブレーキ開閉などのフェテッシュなまでのメカ描写へのこだわり、担当者は気が狂いそうになったと思われるストップモーションによる惑星ホスでのATATシーンなど、特撮映像にかける情熱はとどまる事を知らなかった。恐ろしや、ILM

 しかし健全な子供向けと言う事も意識していたため、三角関係問題を打開すべくルークとレイアを兄妹にしてしまうとか、マーク・ハミルが事故で顔に傷を作ったため、急遽怪我をさせるシーンを入れたりとか、いろいろストーリーをこねくりまわす必要があり、脚本には苦労したようである。

 特にダースベーダーとルークの関係については、かなり早くから憶測が飛び交い、ルーカス側としてはかなり困ったものと思う。いずれいろいろ考えても時間が経過すれば外部の誰かが考えつくし、詳細が決まらないような事は、先送りにせざるを得ないほど時間がなくなっていったのである。

 だからこそ、特撮部分にとんでもなく力を入れて、いい意味でごまかそうと努力したのであろう。

ジェダイの復讐へ
(文責・どんぐり1号)

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