どんぐり雑感
シネマ館
「スター・ウォーズ」
前作[帝国の逆襲]から、石の上にも3年、みな待ち望んでいた完結編である。 一体どういう結末を迎えるのか、とわくわくして観に行った訳だが、なんだこれは、という出来であった。待たされた我々は一体何だったんだ…。 やってる事は結局1作目と同じだし、スーパー・デススターのリアクター破壊シーンなど、[宇宙からのメッセージ]と同じではないか(いや、もちろんイメージが、という意味である)。 映像で良くなったのは、ライトセーバーのシーンくらいで、これはパワー、スピードともかなりグレードアップしており、なかなか迫力があった。 しかしとにかく映画としては、非常に期待はずれな作品であった。 この[ジェダイの復讐]の演出は明らかに子供向けとなり、ある意味予測通りの内容である。今までの話にケリをつけるためとは言え、これはあまりであろう。前作の大人向けの雰囲気から一転して、能天気な娯楽作品になってしまったのだから、そのギャップは大きい。 しかも原題は、当初[ジェダイの復讐]にしていたのに、これでは子供に良くない印象を与えるという理由で[ジェダイの帰還]に変更している。つまりルーカスの視点は完全に子供側、しかも幼年向けへとシフトしてしまったのである(このへん、子供向けとは言え、常に大人の視線を消さない宮崎駿という人間は、えらいと言うかなんと言うか)。 ただストーリーに関しては、[帝国の逆襲]が「以下次号」という終わり方をした都合上、ファンの間ではいろいろな憶測が飛び交い、ありとあらゆるパターンが出尽くした観もあったし、ルーカス側にも当然その手の情報は耳に入っていただろうから、脚本を作るのは大変な作業であったのは、容易に想像がつく。恐らく変更に次ぐ変更であっただろう。 また世界中に各種SF雑誌が氾濫した時代で、情報のリアルタイム化も進みつつあったため、情報のリークがあれば、あっという間に広がるようになっていた。 実際に公開当時の一般的な観客は、どうケリを着けるかというただそれだけに注目していた訳であり、またそれだけ情報に餓える程、みな期待していた作品なのである。 結局、ルーカスへの期待が想像以上だったことを考えれば、シリーズ完結編(当時)としては仕方のない作品だったのかもしれない。ある意味、時代が悪かったと言える、不運の作品である。 とは言え特撮のレベルは、アナログSFXとしてこれ以上ないのでは、と思わせる程の事をやっている。特にフィルムの光学合成はほとんど限界というところまできてしまった。というより、本当に限界が見えてしまったのである。 さらに[帝国の逆襲]までですらかなりの事をやってしまい、もはやどんなすごい映像を作ったところで、観客を驚かせる事はできなくなっていた。つまり、ソフト面からもハード面からも、壁にぶちあたってしまったのである。 そんな中、ILMは記念すべき第一歩として1982年、[スタートレック2]において「ジェネシス・プロジェクト」のシーンをフルCGIで作成し、世界中を驚愕させた。 こうして時代はCGIへと向かっていくのであった。
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