どんぐり雑感
ゲーム処


仙窟活龍大戦 カオスシード
〜穴掘りの至福〜


 ゲームには、『育成シミュレーション』というジャンルがあります。

 育成する対象は、ゲームによって女の子だったり惑星だったりだったり、果ては鉢植えの生首だったり、とまあイロイロ。

 で、このゲームで育成するべき対象は、というと…これが、「ダンジョン」なんですな。
 実際、ソフトのパッケージにはしっかりと文字がある。
 『ダンジョン育成シミュレーション』と。

 別名、『穴掘り』ゲー。

 プレイヤー操る主人公は、「洞仙」と呼ばれる仙人の一種です。

 「洞仙」の役目は、枯れた大地に「仙窟」と呼ばれる穴を掘り、水脈ならぬ龍脈と呼ばれる《気》の流れを整え、活力を注ぎこみ、生命力を取り戻させる、というものらしい。
 ところがこの「洞仙」、穴を掘ったり気を操ったりするたびに、副産物として地表に地震を起こす。そのため、一般の人からは非常に嫌われている存在でもあるらしい(どんな職業にも存在する悪徳者が、中途半端に掘った仙窟を放置して、大地を荒廃させたりという悪行などもあるのだとか)。

 さて、そんな「洞仙」の一員としてこのたびデビュー(笑)することになった、主人公。
 師匠である三界老師に仙窟育成のレクチャーを受け、基本的な操作ができるようになると…いよいよ、ストーリーが大きく動きはじめます。

 このあたりの導入部は、プレイヤーに世界観を見せるため、また複雑な操作を順繰りに身につけていくことができるという点で、なかなか秀逸なのですが。
 いかんせん、ソコに到達するまでの敷居が、異様に高いという難点があります。覚えなければならない用語、知っておかなければならない操作が多くて、「めんどくさいゲーム」が嫌いな人はまずこのあたりで投げ出してしまう、という。

 洞仙がするべきことは、基本的にふたつ。

 「生産部屋」を作ってエネルギーを引き出し、それを「龍穴炉」と呼ばれる龍脈の大もとへ
注ぐ。
 簡単に言えばこれだけなのですが。

 仙窟が小さいとエネルギーの生産量も少なく、いつまでたっても大地の活性化ができません。
 そのため、エネルギーの生産力の強化、仙窟の拡大、手助けしてくれる大地の精霊たちの召喚、とするべきことがどんどん増えていき、またその間に洞仙を嫌う地上の人々が仙窟を破壊しようと攻めて来るので、そちらへの対処もせねばならず。
 そしてまた、地下に穴を掘っているわけで、時おり妙なものまで掘り出してしまったりもするのでした。

 基本的に、仙窟ひとつにつきシナリオがひとつ用意されている、という感じで、龍穴炉に注ぎこむエネルギー量の多寡や、主人公の行動によってストーリイが分岐していきます。
 中には、分岐条件が非常にわかりづらいものもあり、ハッピーエンドに到達するのはなかなか容易ではありません。

 操作に慣れてくると、そのあれやこれやの複雑な調整がだんだん楽しくなってくるのですが、いかんせんその前に挫折してしまう人が多く、ゲーム雑誌でのソフト評価も、ほぼ一様に「ハマると楽しいが、とにかく敷居が高いゲーム」でした。

 完成度の高さや開発チームの意気込みとは裏腹に、売上的にはあまり芳しくなかった、ひとつの要因でもあるのでしょう。
 …もう一つの要因は…何度か発売日がのびて、結局発売されたのが某大作ソフトと同じ日だった、ということらしいですが。

 スーパーファミコン版が「風水回廊記」、セガサターン版が「仙窟活龍大戦」。

 どこかでソフトを見つけ、どちらかのハードをお持ちでしたら、一度プレイしてみることをおすすめします。
 …ハマる人がたくさんいて、リメイクの希望なんかが出ちゃったりしちゃったら、新たな希望が涌いてきたりも…するんですけどねえ。

「♪ぴんぽ〜ん♪ 新作ができるという情報が発掘されました(ごめん、うそ)」

 「始まりは、カオス」で紹介している娘さんたちは、皆その主人公が穴を掘っている最中に、色々な形で
彼に関わるようになった人々です。
 いずれ、主人公もその仲間に加えたいところなんですけどね。

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