西澤保彦的小部屋
案件2*『神余響子』
さて、「チョーモンイン」のシリーズ5冊目、連作短編集の『転・送・密・室』から登場し、レギュラーメンバーとなった、嗣子の同僚兼ライバルという位置付けになるのが、こちらの神余(かなまり)響子。 それがチョーモンインのシステムなのかどうか、嗣子のトレードマークが三つ編み・着物・袴という時代がかったいでたちなのと同様に、響子のトレードマークは作務衣にカンフーシューズ。 まだ作中では明確にされていない、「ある理由」によって、響子はかなり切り詰めた生活を送っている。その「金食い虫」な理由のために、響子はチョーモンインとしての給与の他、内緒のアルバイトなどもこなしているというのが実情。 衣類にもあまりお金をかけられず、古着を自分で仕立てなおしている、というのも作務衣一辺倒な理由の一つらしい。 …でも、一人称が「オレ」というのは、そーゆー事情では説明できないよなあ。 まあ、なんだかんだ言っても、実用性のみを理由に着ている、と言い張る作務衣に「お花のアップリケ」なんかつけちゃうあたり、無用なツッパリが可愛い娘さんではある。 外見は、嗣子同様、中学生くらいの少女にしか見えないものの。 『転・送・密・室』でその一端が明かされた「チョーモンインのひみつシステム(笑)」によって、彼女たち相談員は仮の名前と外見を与えられている、らしい。 「神」がつく名字で統一されているのも、その言動が外見といささか乖離している(場合が多い)のも、すべてはその「ひみつ」によるものだとか。 まあこのへんは、実際にチョーモンインの物語が完結しないかぎり、明確にはならないと思うけど。 今まで張られた伏線を見る限り、響子が実は××と××の×、である、らしいことは推察がついたりするわけで。 …そうなるとますます、嗣子は(本当は)誰なんだろう、というナゾも深まったりするんだけど。 |
響子、出勤 |
肩からかけてるバッグ、どっかの娘さんが持ってたものと似てるけど、気にしない(笑)。絵師は一緒だからいいんです、とか言ってみる。 作務衣はこまめに新調したりしてるものの、それ以外の点ではあまり身なりにかまわない方らしい響子。 せっかくの濡れ羽色の髪も「伸ばしっぱなしでぼさぼさ(上司談)」状態。 嗣子びいきの保科が嗣子と遜色ないくらいの美少女だ、と率直に褒めるくらい、モトがいいんだから、というわけでもあるまいけれど。 「おせっかいな」嗣子が黙っていられなかったらしく、仕事でコンビを組む(組まされる)ようになってから、こまめに髪を編み込みの三つ編みにしてやっているようで。 |
「お待たせー」「遅せーんだよっ」 |
どっちかというと江戸っ子気質っぽく、テキパキシャキシャキ物を言うタイプらしい響子にとって、のんびりおっとりリーズナブル、その上強引な性格の嗣子は、見ているだけでイライラする存在である…らしい。 とかなんとか言いつつ、この二人、コンビネーションは悪くないように、ハタからは見えたりするんだけど。 まあ、待ち合わせでこんな光景が見られるのは、よくあることだと思うのですが。 |
そして、いかに響子がウザがろうが罵ろうが、ちっとも気にせず「響子ちゃんとは仲良しー」とニコニコしている嗣子なのでありました。 |