西澤保彦的小部屋
案件5*『高瀬千帆』
チョーモンインシリーズのネタが続いたので、そろそろ西澤氏のもうひとつの代表シリーズ、「酔いどれカルテット」シリーズの話題でも。 一応、公式には「酔いどれトリオ」、もしくは「タックシリーズ」という呼称で流布しているシリーズ。 しかし、『彼女が死んだ夜』で脇役の一人として初登場した、ウサコこと羽迫由紀子が巻を追うごとにキャラクターとして重要なウェイトを占めるようになってきて、最新長編の『依存』ではほぼ主役のような存在になったため、個人的に「酔いどれカルテット」と呼んでいたりする。 まあ、このあたりの話は「読書館」の「西澤保彦」の項に譲るとして。 チョーモンインシリーズは、水玉画伯のイラストも含め、ビジュアルとして思い描ける要素が多いので、2D3D化するにあたって、イメージ的にはあまり苦労しない(もちろん、そのイメージを実際にカタチにするという過程についてはその限りではないけども)。 先日、某模型誌でワンフェスの出品作など見ていたら、矢絣の着物に海老茶の袴、風になびくロングヘア、といういでたちの少女のフィギュアがあり、「これはもしや嗣子フィギュア?」と思いつつよく見たら、「ファミリーレストラン『馬車道』のウェイトレスのコスプレをした大道寺知世(byカードキャプターさくら)」というえらい複雑な設定のブツであった。 着物と袴、という姿を見るととっさに反応してしまうのが業というかなんというか。 さて、一方この「酔いどれカルテット」。本の装丁にも毎回デザイン的なイラストが使われ、具体的な人物の絵はほとんど出てこない。 メインキャラクターの描写も、タックこと匠千暁は「じゃがいもに目鼻をつけたような単純な顔立ち」、ボアン先輩こと辺見祐輔は外見描写より豪快な性格や行動が目立ち、ウサコは「二十歳すぎても中学生に間違えられる童顔・幼児体型」、そしてタカチこと高瀬千帆は「モデルと見まごう長身痩躯、誰もが認める美貌」…。 これを具体的にビジュアル化するのは、確かに難しいかも知れない。 …と思っていたんだけど、案外竹本泉あたりに描いてもらったら面白くなるのかも、とフと考えた。 地味な顔立ちの男性(よみきりものの脇役系男子とか)も、豪快なキャラクター(ねこめ〜わくのオスカとか)も、見た目より幼い女の子(てけてけマイハートののぞみとか)も、長身で怜悧な美女(火浦功のファイナル・セーラー・クエストの真琴とか)も、既存のキャラでけっこう代用できそうな…すいません、石を投げないでください、お願いします。 妄想は自分の脳内だけにとどめておきます。 |
黒の貴婦人・白の貴婦人 |
「匠千暁の事件簿」というシリーズ名がついているにもかかわらず、このシリーズは「タカチの話」と呼ばれることも多かったりします。 実際、一貫して「酔っ払いつつ『妄想』を展開していたつもりが真相を探り当てていた」というスタンスの主人公、匠千暁ことタックに比べて、高瀬千帆こと『タカチ』は、シリーズ当初から見ると、徐々にではありますが確実に変化を遂げつつあるわけで。 超然とした傍観者から、「他人」の内面を推し量るようになり、その推量の結果に一喜一憂するようになり、ついには自らの殻を破って、あえて「人」に関わるべくその一歩を踏み出した…。 転回点、『依存』での彼女の行動を、私はそんなふうに解釈しているのですが。 まあ、それはさておき。 小説として見れば、超然としたいと願いながらもそうしきれず、動揺し、感情をあらわにしつつ成長していく「タカチ」の姿が非常に魅力的なのですが。 「絵」としては、登場初期の「冷徹、超然、ノンシャラン」と評される彼女の方がサマになったりするんですよねえ。 そんなわけで、まずは「黒」。 誰もが振り返るような美女でありながら、意図的に奇天烈な色のタイツやら変な形のミニスカートなどを着用し、自ら近寄りがたい雰囲気を醸し出していた頃のタカチ、という感じで。 もっとも、ボアン先輩にはその防護策はいっこうに通用しなかったようですが。 |
一方、こちらは「白」。 対照的に、「黒のパンツスーツを着用することが多くなった」ころを想定して。 本のタイトルでは、『仔羊たちの聖夜』から『スコッチ・ゲーム』以降、『依存』以前というあたりですか。 …もっとも、それだったらほんとは、髪をソバージュにしてないといけないんですけどね。 |
メイド・イン・・・・ |
えーと、「西洋骨董洋菓子店」というコミックがありまして。 それを原作にドラマ化された「アンティーク」という番組が、某局で放映されております(2001年10月現在)。 で、西澤氏HPのBBSにおきまして、その話題が盛り上がっていたところに、常連の某氏がボソっと一言。 「『西洋骨董洋菓子店』と『西澤滑稽洋菓子店』は似ている」 コレがなかなかにウケまして、オーナーは誰だ店員は誰だ、これはやっぱりフリフリのウェイトレス服でタックやボアン先輩に…と、何故その方向に行くのやら(喜んでいたのは誰だ→私です)。 で…ついつい思いついてしまったネタをいっちょ(このメイド服は、このネタを思いつく以前に存在していた…)。 「…いらっしゃいませ。当店特製のゼリーはいかがですか?」(すみません。ミニチュアのケーキの手持ちがありませんでした) |
さて、一見、単なる売り子に見えたメイドなタカチ。 その実、『西澤滑稽洋菓子店』のオーナーであった、というオチがあったりなかったり。 「あはは、そりゃないない」(by 水原暦) 手持ちの椅子(某100均ショップで売っていたもの…通称エマニエル椅子)に座らせてみたら、なんだか思いっきり妖しげになってしまいました。 |