娘さんいろいろ
未来のイヴ(1)
さて、まずは押井カントクの話。 どんぐり1号は御承知のように、古くからの押井マニアである。 映像作品は言うまでもないが、多分これまでに出版された押井がらみの書籍は概ねフォローしているのではあるまいか(雑誌まではさすがにコンプリートとはいかない模様。近年の出版ラッシュに、書籍の方にも多少のモレはある可能性がある。…まあ保存用と観賞用と布教用に全部3冊ずつ、とか言わないだけマシか)。 当然ながら、押井に関して語らせると熱い、長い、止まらない。 …のでまあそのへんのウンチクについては別項にゆずるとして(いつのことになるかわからないが、たぶんシネマ館に押井論のひとつもアップしてくれるだろう)。 翻って私、どんぐり2号がどうかというと。 「うる星やつら」の映画の中では、『ビューティフル・ドリーマー』が一番傑作だった、これは間違いない(テレビシリーズでも、押井が監督したものは『うる星』らしくなくて面白かったと思う。ルパンのテレビシリーズで、宮崎が手がけたものが、その他の人が監督したものとは異質で面白かったのと同じような感じで)。 「紅い眼鏡」は奇妙で面白い映画だとは思ったが、ハマったかどうかと聞かれるとちょっと自信がない。 映画版「パトレイバー」1&2は…傑作であるのは間違いないが、好き嫌いで言えば、OVA版の方が好きだった、と思う。 ひとつには、登場人物のキャラクター解釈として、ゆうきまさみバージョンのものが好きだったから、というのもある。 その他いろいろあるが、とりあえずそのあたりはパス。 そんな中、アニメ誌などで「攻殻機動隊」が押井の手でアニメ映画化される、という情報を知った。 正直、「パトレイバー2」の流れを汲む、硬質で写実寄りなキャラクターデザインが、どちらかというと苦手だった。原作の漫画では、「自我の実在」や「ヒトと機械の違い(あるいは共通点)」といった重いテーマを、ちょっと軽めなキャラクターがさらりと表現・処理していたのが印象的だったので、同じテーマでどのキャラも深刻に悩んでいる雰囲気が濃厚に漂ってくる「絵」に、ちょっと引きぎみだったのは確かだ。 こと私に関する限り、そのへんの苦手意識が一気に吹っ飛んだのは、先行発売された「攻殻」のサントラを聴いた瞬間だった。 電脳、光学迷彩、コンピューターネットワーク、(アニメ誌で紹介されていた)オープニング映像は一面に蛍光色のドット文字で埋め尽くされていた。 その映像にかぶさるべく作られた音楽が、あの「謡(うたい)」、『吾(あ)が舞えば』で始まり『遠神恵賜(とおかみえみため)』で終わるアレだったわけで。 ※ちなみに、あの曲が作成された経緯は、押井と音楽担当の川井が「どうする?」「どうしようか」「なんにも考えてないの?」「全然。とりあえず、太鼓使うのはどうだろう」「太鼓?(ドーーン)…こんな感じ?」「…その音で録ってみて」「(ドーーン)…(ドーーン)…こんなんでいいの?」「いやわかんないけど、まあその路線でいってみようよ」 半分くらいネタのような気もするが、映画「パト1」でスチールドラムを使ったときのやり取りもこんな感じだったらしいので、この二人はほんとにいつもこうやって『映画音楽』を作っているのかも知れない。 「攻殻」中盤、休暇中の少佐が一人で街をぶらつきながら、(たぶん)己の存在意義その他についていろいろ考えているのだろうと思われるシーンでずっと流れている「謡」、ラストの「ネットは広大だわ…」という少女素子のつぶやきとともに閉じられ、『遠神恵賜』のリフレインとともに(いったんは)幕を閉じる物語。 その当時、結構エンドレスで、サントラをBGMがわりに流していた記憶があるので、曲としてかなり気に入ってたんだろうなあ、と思う。 さて、その「攻殻」から少々の年月を経て。 ほぼ続編に当たると言っていい、『イノセンス』の製作が発表された。 先行発売されたサウンドトラックは、まさに「迫力は120%増加、音の厚み深みは63%上昇」。 『傀儡謡を極めたものは「イノセンス」にハマる!』なのであった。 ラストが、やはり『遠神恵賜』のコーラスで〆られるあたり、ツボを突きまくられてしまった。 が。 スポンサーはなんと「あの」スタジオジブリ、目標は「OL百万人動員しよう」。 「続編映画は当たらないから、『攻殻2』ではなく『イノセンス』」、「ローソンと提携してマグカップが当たるキャンペーンをやろう」「テーマ曲は『Follow Me(アランフェス交響曲の甘く切ないボーカルアレンジ)』」 …言いたかないんだが、なんというかその、目指す方向がいささかズレちゃいませんか、と…。 もちろん『Follow Me(と"River of Crystals")』は、曲としてはとてもいいものなんだけど、サントラに混ぜてほしくはなかったというか。 と思ったけど、前作『攻殻』でもサントラのラストは「劇中で街に流れている歌謡曲」というコンセプトのアイドルソングだったし、そういや、映画版「パトレイバー」の1にもあったっけ。 まあこれはこれで、販促戦略としてはアリ、なんだろう…なあ。 ともあれ、いろいろと連動したイベントやキャンペーンが行われていた中、平行して開催されていた「球体関節人形」関連のイベントは、かなりソチラ方面の人々を誘引する効果があったようだ。 これは、今回のテーマ「人は何故人形を愛するのか」の見事な体現だった模様。 そして、この「人形を愛する」人々は、DVDボックス発売の情報を聞いて、激しく(たぶん『イノセンス』公開時よりも)熱狂したのであった。 発売されるボックスは3種類。メイキング系の資料が付属したもの、作中に登場した「犬のオルゴール」が付属したもの、そして、同じく作中に登場した「ガイノイド・ハダリ」のレプリカフィギュア同梱のもの。 「フィギュア」という表現に彼我でいささかの混乱が生じたものの、付属するのは作中に登場したものを忠実に再現した球体関節人形、つまり全身稼動タイプ。 詳細がホビージャパン等で発表されるにつけ、これは人形者のハシクレとして買わないわけには、という気にさせられたわけで…。 1号は1号で、ハダリ同梱タイプのボックスにのみ付属してくるメイキングDVDが欲しいと言う。 …まあこの時点で、結論は決まったようなもんだったわけだ。 問題は、このハダリBoxが、ちょっと最初は注文をためらってしまうほど、大変素晴らしいお値段だった、という点だったのだが、まあソレはソレ。 ボークスのSDよりは安いから、と無意味に言い訳してみたり(でもSDよりは高かったな…)。 問題の「荷物」が到着するのにまつわったアレコレについては、こちらを参照のこと。いやもうホント、大変だったんすから…箱が。 「到着当日の『箱』騒動」は、ハダリBoxを予約した人々の間ではほぼデフォルトだった、と付記しておこう。 ※たとえば「ハダリ 箱」でググるとか ……二つ注文した人もいたと言うが……。 |
その名はハダリ |
でまあ一応、その『箱』にまつわるダイジェストを、こちらにも載せてみる。 「箱を開ける」という工程だけでも10回以上を要したのであった。 最後にあけた箱の中に、丁寧に布に包まれて鎮座していたのが、問題のレプリカハダリである。 付属の赤襦袢を着せ、専用のスタンドで立たせてみるとこう(スタンドの上に敷き布をかぶせてある)。 各パーツの中にはゴムが通っており、このゴムをきつく締めると自立も可能らしいが、加減がわからないのでちょっとパス。 冒頭のシーンに出てくるハダリがベースなので、この赤襦袢と一緒に百合の花も付属しており、挿せるように、左側頭部に穴があいているのだが、この花がキャスト製。(ついでにハダリの手と足もキャスト製。腕・ボディ・脚・顔はレジン製) どうも、挿すのに力をこめたら変なところでポッキリ折れそうで怖い。 ボークスやタカラのプラスチック製ドールを基準に考えると、全体に材質がかなりもろいようで、某所での報告では欠けたハゲた開けたら折れてた、とひと騒ぎあった人もいる。 基本的に、持って遊んだりするのに向いたツクリはしていない、ということなのだろうけども(素手で触るなとも明記されていたし)。 しかし、ボディや腕・脚はゴムを通す穴が貫通している以外はみっちりと中が詰まっており、ずっしり重い。 ヘタにスタンドで立たせておいたら、なにかの拍子に倒れた時に、えらい惨事を引き起こしそうな気がする。 専用箱に封印しておいて、必要な時だけ引っ張り出す、というのがベストのようにも思う。 |
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さて、左側がデフォルトのハダリ。 右側は、グラスアイに交換したものである。 目の部分のアップ。 デフォルトのハダリアイ(なんかデビルアイみたいな語感だな)は、全体につや消し系の塗料で、白い眼球の上に黒・水色・黒と同心円を描いている。 視点は真正面に向いて動かない。 交換したグラスアイ(ボークス製のHG6mm・コバルト)は、黒目部分が若干デフォルトのものより大きいので、黒目勝ちな雰囲気になった。 目玉本体を変えた以外、まったくいじっていないのだが、かなり目の表情は変わるのであった。 しかし、目玉換装のために開かなければならない頭のフタを留めているネジが、ずいぶんと弱い。 ネジ山つぶれて回せなくなったよ_| ̄|○ そのうちこれは、なんとかせねば…。 |